本物の人骨をスキャンしている
今回の新しいモデルは、本物の人骨を3Dスキャナーで取り込んで、それを元に忍者アナトミーの金型が作られている。
3Dスキャナーは、スキャンをする物体にレーザー光線を当てて、その反射でデータを取り込んでいる。
凹凸や複雑な形状の人骨のようなモデルは、どうしてもレーザー光線が当たらないところが出てきて、そこのデーターが取り込めなくなってしまう。
その穴が開いたデータを、手作業でミクロン単位の修復していくことが、スキャンをするときの大変な作業になってしまう。
通常のモデルであれば、単に表面を合わせるように慣らしてやればいいのだが、人骨は、そうはいかない。
適当にやってしまうと、それはもう想像の産物になってしまう、本物の人骨をスキャンした意味がなくなってしまうのだ。
実際の骨を触り、探究している人でないとこの作業は、絶対にできない。
この大変な作業を、骨単の著者である原島広至さんが、快く承諾していただいた。
原島さんには、忍者アナトミーの開発当初から、さまざまな助言をいただき今のモデルに至っている。
骨盤や大腿骨の小さな穴や突起までも再現したデータが出来上がってきた。
金型作りがまた大変
プラモデルの金型って、モナカみたいなもので、二つの雌型と雄型を合わせて、その間に材料を流し込んで、冷えたら金型を上下方向に抜く。
そのために、図のように抜き方向と角度がある凹凸は表現できない。
人骨のように複雑な表面の形状を表現するためには、神がかりの金型割の技術がいる。
まず、取り込んだデータで立体モデルを作って、それでその形状や凹凸をどのように表現するかを様々な角度から検討して
部品割りを決める。
私は、どうやってこの 複雑な表面を再現するのだろうと思っていた。
相当なところの突起や、穴の形状が消えてしまうのではないかと心配していた。
ところが、できてきた模型の金型割にびっくり。
見事に表面の凹凸を表現されているばかりではなく、腸骨の中央部の薄さもちゃんと表現されていた。
実際の骨を見るまで私も腸骨の中央部分がこんなに薄いなんて思ってもみなかった。
通常のプラモデルではこんなに薄いモデルはないと思う。
こんなに薄いと、ひけやバリが出ないように材料を流し込むのも大変なはずである。
秋東精工さんの中では、相当の試行錯誤があったことは確かだと思う。